田舎館村は東に八甲田連邦、西に岩木山をのぞむことができる青森県津軽平野の南部にある村で、村の中央を東西に浅瀬石川、弘前市との境を南北に平川が流れており、土地の大部分は沖積土でおおわれています。
これまで「米の反収日本一」を何度か記録した全国屈指の農村地帯で、米づくりは北方稲作文化発祥の地といわれるほどその歴史は古く、「垂柳遺跡」からは今からおよそ2000年前の水田跡が発見されるなど弥生時代から続いている由緒ある村です。
その米を使い村おこしにつなげようと村役場職員の発案で1993(平成5)年に始まったのが「稲作体験ツアー」。
より多くの人に米づくりの楽しさ・農業のおもしろさを知ってもらうために、昔ながらの手作業で田植えから稲刈りまでを行うというもの。そのイベントの一環として、田んぼをキャンパスに見立て紫や黄色などの色の異なる稲を絵の具代わりに「岩木山」の絵と稲文字を描いたのが「田んぼアート」のはじまりです。当時はまだ「アート」ではなく「稲文字」と呼ばれており、3色の稲のみでシンプルな図案を表現していました。
それから年を重ねるごとに様々な人の協力もあり図案も細かく芸術性も増していき、いつしか「田んぼアート」と呼ばれるようになり、全国にも広まりました。今では7色の稲を使いこなし繊細で緻密なアートを作り上げ、津軽平野の風にそよぐ縦104m、横104mの巨大な「稲穂の芸術」を楽しむために全国各地や海外からも10万人以上の見物客が訪れるほどの有名なイベントとなりました。